水害の猛威に応えられるか、大井川の実態

NPO法人 しまだ環境ひろば 「事務局」 です。

 

大井川は、南アルプス間ノ岳(3189m)を源流とし、駿河湾に注ぎ込む全長180kmの日本有数の川です。

 

大井川は、江戸・明治時代までは、その高低差故に暴れ川として有名でした。

 

ところが昭和に入り、高低差を利用した水力発電が活発となり、電源開発のメッカとして、中部圏や関東圏まで電気を配る川になりました。

 

水域には、18カ所の堰堤・ダムがあり、その下には15カ所の発電所があります。

 

川の中に流れる水は極く僅かで、殆どの水はダムから発電所へ、発電所からダムへと流れ、その間は山中のトンネルの中を流れています。

 

トンネルから出た水は、島田市の用水路に注ぎ、市内の至る所に流れていますが、その水の色は、ダムの藻と土砂の汚れが染まり、いつも青み掛かった灰色で、全く清潔感がありません。

 

大井川は、電気を供給するという役目の川と化し、犠牲の川となりました。

 

通常、川の三大作用は、

 

 ■ 上流部の浸食作用

 ■ 中流部の運搬作用

 ■ 下流部の堆積作用

 

と言われていますが、大井川は全く逆な川と化しています。

 

 ■ 上流部のダムに堆積作用

 ■ 中流部は、水がなく、石ころばかりの河原砂漠

 ■ 海岸や近海漁場は、浸食作用が働き、どんどん後退しています。

 

こうした今の大井川には、大きな心配ごとがあります。

 

一つ目は、昨今のような超大型台風の襲来で、とてつもない大雨が降ることによってのダムの決壊や突然の放流です。

 

二つ目は、東海地震などによるダムの崩壊です。

 

三つ目は、リニア新幹線の振動による、近辺の山の崩落によるダムへの土砂の流れ込みです。

 

とてつもない土砂と水が溜まっている多くのダムの決壊につながる恐れもあります。

 

そういう意味で、ダムの浚渫が大事ですが、これがなかなか進まない。

 

災害は起こってからでは遅い。