12月号「県民だより」リニア新幹線を読んで

NPO法人 しまだ環境ひろば 「事務局」 です。

 

リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題で、静岡工区の着工が暗礁に乗り上げています。

 

これまで、水の減少問題だけに焦点が当たってきましたが、南アルプスは特殊な地質問題が存在する。

 

12月号の「県民だより」南アルプスの地質構造について記述しています。

 

 ■ 南アルプスの特殊な地質: 海側のプレートが陸側のプレートの下に沈み込む際、太古の海に堆積した様々な岩石が剥ぎ取られるように陸側に押し付けられてできたのが南アルプス

 

 ■ 日本で最も崩れやすい南アルプス: 大井川上流は崩壊地が多く、割れ目の多い複雑な地質で世界最速規模で今でも隆起しており、大規模崩壊の発生が懸念されます。

 

 ■ 井川ー大唐松山断層と地下水: 付近に凹んだ地形(断層鞍部)の下に破砕帯の存在が推定され、トンネルの掘削に伴い大量の湧き水が発生し、県外への流出が懸念される。

 

令和2年1月31日付け 静岡新聞朝刊 26頁に、静岡大学防災総合センター 客員教授(構造地質学) 狩野健一先生への取材記事「南アの地質追加調査を」が掲載されていますが、やはり警鐘を鳴らしています。

 

筆者が所属する、「大井川の水と恵みを考える会」のH代表も、「南アルプスの性格」と題して南アルプスの脅威を訴求しています。

 

 ■ 南アルプスには、中央構造線糸魚川静岡構造線の他に、戸台構造線・仏像構造線・笹山構造線がある。

 ■ 大井川は大量の土砂を押し流して扇状地を作り、下流に砂泥を深く沈下させて巨大な水がめとなった。

 ■ 構造線に囲まれた南アルプスは、現在も隆起・崩壊の活動を続け、地下の恐るべき圧力を知るべきと警鐘を鳴らしています。

 ■ H代表は、トンネル内の列車通過時の振動による影響にも言及しています。

 

大井川は、日本一の電源開発(大規模ダムによる水力発電)のメッカであり、大部分の水はダムから発電所へ、発電所からダムへと山中のトンネル内を流れて、川には水は殆ど流れていない、電源開発の犠牲になった川です。

 

従ってダムや発電所は大小15程もあり、ここに溜めている水量は半端ではない。

 

もし、南アルプスのどこかが崩落したら、想像もつかない大惨事になる。

 

水の減少もさることながら、実は南アルプスが今でも隆起・崩壊を繰り返しており、もっと地質問題に焦点を当てた調査や議論が待たれます。

 

県民だよりは、県は、南アルプスの水資源と自然環境を守るため、引き続きJR東海と対話を進めて行きます。としています。

 

非常に難解な問題になりました。