タテ割り社会の弊害

NPO法人 しまだ環境ひろば 「事務局」 です。

 

昨年9月、菅新内閣が、「行政の縦割り、既得権益、あしき前例主義、こうしたものを打ち破って規制改革を全力で進める」と明言し実行に移しています。

 

日本の多くの組織や地域は、縦割り社会で、未だ健在である。

 

国の省庁や自治体、その内部組織(部・課)、企業の事業部制や製造部制、自治会の地区割り制、みんな縦割りで入り込む隙間は少ない。

 

組織や地区をまたがる横断組織は、省庁で言えば環境省」や「復興庁」企業で言えば「品質管理」や「製造管理部」、地域で言えば「環境市民団体」や「危機管理市民団体」などがそれにあたる。

 

しかし、縦割り組織に横割り組織がそのままの形で横から入り込むのは実に難しい。

 

縦割り組織に横串を入れるのは並大抵ではできない。

 

省庁・自治体・企業で、部や課が違えば隣りは何をする人ぞ、殆ど感知しない。

 

企業では、品質管理を、縦割り組織の製造部制に入れて製造部長の権限を増やして経営スピードを上げたり、品質の不祥事があると慌てて、横割り組織の品質管理部を作り製造部長の権限を縮小したり、横と縦の関係は安定していない。

 

日本人の多くは、よそ者を排除してきた歴史がある。

 

自治会活動に、市民団体が入り込む余地は非常に少ない。

 

過去に、しまだ環境ひろばが、ある自治会(まちづくり委員会)に連携・協働を働きかけたが、一回だけの交流会だけで、「間に合っています」の一言で終わってしまった。

 

自治会は、特定地域だけの組織で、その地域内の浸透力は素晴らしいものがあるが、専門の経験や知識を持つ人材は少ない。

 

市民活動団体は、ある分野(環境とか危機管理とか)の専門的経験や知識を持って、広域的・横断的活動をしている。

 

自治会を「縦糸」に例えるならば、市民活動団体は、「横糸」、縦糸と横糸が絡めば丈夫な布になり、計画の企画も実行も幅が出ます。

 

こういうことが分かっているのに、融通を利かさない。

 

むしろ仲が悪い。

 

まちづくり活動も、立上げ時点は、経験や知見を持つよそ者を大事にするが、その内に排除が始まる。

 

今日(2月12日 金)の日経新聞朝刊 11頁 経済教室欄に、「脱タテ社会でデフレ脱却を」の記事が掲載されました。

 

長い日本のデフレも、タテ社会が原因で、我国がデフレから脱却できないのは、タテ社会が起因しているという。

 

日本の労働市場流動性の高いものへ変えるには、日本の伝統的な「タテ社会」に「ヨコ社会」の要素を組み合わせてはどうか。

 

タテ社会に起因する、非正規雇用・受験競争・パワハラ・セクハラなどの改善もしやすくなる。

 

菅内閣が、縦割り組織にくさびを入れる。

 

その見本を見せて、地方にもその良さを波及させてほしい。

 

縦糸と横糸がうまく結びつけば良い仕事ができる。

 

そういう社会が早く来てほしいものだ。