「新エネルギー基本計画」原案に思うこと。

NPO法人 しまだ環境ひろば 「事務局」 です。

 

経済産業省は、今年度4月に決めた2030年度までに温暖化ガス排出量を2013年度比で46%減らす新目標を達成するため、その中核をなす2030年度の電気を何で供給するか、新エネルギー基本計画の原案を公表しました。

 

 <2030年に至るエネルギー基本計画構成比  単位:%>

 

          再エネ   原子力   LNG   石炭   石油等   

2019年実績   18     6    37   32    7       

現行目標     22~24 20~22  27   26    3

新目標      36~38 20~22  20   19    2

 

 ※ 現在の再エネ実績(18%)を、36~38%へ大幅なアップを計画した。

 ※ 原発は20~22%で据え置いた。

 ※ 火力発電(LNG・石炭)は、減少を見込むも39%は残る。脱炭素が叫ばれている中で、石炭火力は2030年時点でも19%は残る計画だ。

 

再エネ36~38%の中身は、太陽光 15%、風力 6%、地熱 1%、水力 10%、バイオマス 5% 計37%である。

 

再エネの主力は、太陽光であるがネックは太陽光パネルの置き場所だ。

 

 ◆ 日本は平野は少なく山地が大半で、山地に設置した太陽光は、景観や災害面で問題を起こしており非常に厳しい。日当たりの良い平地も限界がある。

 ◆ 発電量が天候で左右される。

 

一方、太陽光をカバーできるのは、「風力発電」だと言われていますが、風力発電も太陽光同様に設置場所に難点がある。

 

これらの難点をカバーできるのは水力発電だと思う。水力10%は少な過ぎるのではないか。

 

今回は、「小水力発電について論じてみたい。

 

 ◆ 2019年度の水力発電実績比率は9%位で、その内の8%は大規模ダムによる安定的水力発電だ。従って2030年で10%と言うことは、これからの9年間で1%の増加しか見ていないということだ。

 

 ◆ 日本は、国土の60%以上が山地であり、雨量も多くダムに溜められた水は発電で使われた後は流れ下って街中の用水路に流れ込み、農業用水や生活用水となって最後は海に放出されています。

 

 ◆ 幹線用水路には、常時豊富な水が流れており、「用水路発電」は非常に魅力がある。

 

 ◆ しかるに用水は、農家の既得権「水利権」で守られ、これを「小水力発電に活用することは非常にハードルが高い。

 

 ◆ 一時、用水路に発電機を直接に沈めて発電をする発電機が多くの機械メーカから開発され、発電機の性能は飛躍的に高まったが、今は直接に用水路に置くことは認可されないので、開発意欲は極く少容量の発電機を除いて減退の一途をたどっています。

 

 ◆ 日本全国、用水路はいっぱいあり、これの「小水力発電」への活用は、日本の財産である自然エネルギーの創出を自ら捨てるようなものだ。

 

 ◆ 用水路の横にわざわざもう一本の水路を作って、そこに発電機を沈めれば発電効率は高まるが、コストは数倍になる。

 

 ◆ 用水路に直接発電機を沈めても、数軒分の電気を創出するのは充分可能でありコストも安い。

 

日本に合う「小水力発電」は、「小型分散型小水力発電が望ましい。

 

昔、空調が集中型であったのが、現在は「部屋別小型分散空調方式」が主力であり、小水力発電も、用水路に何台もの発電機を並べて「小型分散設置」させれば非常に効率的な発電が可能となる。

 

農業用水を大事に守ることは理解するが、小水力発電で利用しても水は一滴も減らないし、何の障害も無いのになぜハードルをそんなに高くするのか理解ができない。

 

今回のエネルギー新計画で、「小水力発電」への期待が全く感じられないのが不思議でならない。教えて欲しい。

 

ハードルを下げれば、発電機の開発意欲は蘇り、コストもダウンし、設置工事技術やコストダウンも進む。

 

太陽光発電のネックを補えるのは、「小水力発電ではないのか。