大井川の地下湖の神秘と有効利用

NPO法人 しまだ環境ひろば 「事務局」 です。

 

昨日(9月18日)は、島田市の地下水について書きました。

 

嘗て、大井川は日本でも有数の暴れ川で、幾多の洪水によって島田市を基点として南は吉田・旧大井川町方面へ、東は藤枝・焼津方面へと広大な扇状地を作りました。

 

扇状地の地下には、豊富な上質な地下水が流れていますが、大井川の海岸近くには厚い砂泥層が積もり、それが地下水の海への流失と海水の流入を防ぎ地下水の水量は殆ど変わらず今日に至っています。

 

地下水は主に扇状地に存在する事業者が豊富に使っていますが、それでも減ることはありません。

 

これらを証明する証しとして、

 

 ■ 扇状地に存在する事業者と近隣自治体で作っている協議会では、扇状地の十数ヶ所の井戸で、長期にわたって毎年一定時期に水量調査を実施していますが、水量は豊富で殆ど変わりません。

 

 ■ 吉田の海岸の直ぐ近くに、K飲料さんの工場があり地下水をくみ上げて使っていますが、塩分は薄く全く問題がないという。普通は海岸端の地下水は塩分が混ざり飲料には適さないと思いますが、このことからも厚い砂泥層で遮られて海水が流入していないこと、また地下水が流失していないことを証明しています。

 

しまだ環境ひろばでは、過去二回(平成29年11月29日・平成30年9月30日)

一般市民対象で、K飲料さんを含めて「大井川の扇状地の地下水めぐり」を企画し扇状地の神秘の地下湖を探索しました。

 

 ■ 残念ながら二回目は大型の台風の来襲で中止しましたが、次回の開催を期しています。

 

一回目の探索は、次の順序で探索しました。

 

 ■ 大井神社境内には水の神様を祀り、地下から汲み上げた神水「双竜の手水」として使い、また「御神池」に放流し市民の憩いの場所となっています。境内には大井川の水、「宮川」が流れています。

 

 ■ 大井神社の近くには、「O酒造」さんがあり、地下水を使い「鬼殺し」「女泣かせ」などの銘酒を作っています。大井川の扇状地から湧く地下水は銘酒には欠かせないと言っています。

 

 ■ 島田市の金谷地区には、嘗ての航空隊がありそこの上水場を「大井川水道企業団」が継承して、金谷地域の水道事業を担っています。地下水の量は豊富で変らず、しかも良質で殆ど薬品を使う必要もなく、金谷地域の住民は良質でコストの安い水を享受していると説明がありました。

 

 ■ 昨年ご逝去された、「堀本陽三」さんの自宅では地下水を生活用水として使っていますが、堀本さんの自宅は大井川の下流域にある昔の庄屋屋敷でした。堀本さんは長年の研究で、大井川の海岸端に存在する「砂泥層」を突きとめ、島田市の遺産である大井川や地下水の有効活用のため「大井川の水と恵みを考える会」を発足させましたが道半ばでご逝去されました。堀本さんはしまだ環境ひろばの会員でもありました。

 

探索当日はまだご存命中の堀本さんから貴重な地下湖の話を聞きました。ご冥福をお祈りします。

 

 ■ 「吉田養鰻場」では、無数の養鰻池があった昔の面影はありませんが、現在はウナギの出荷間際に大きないけすに地下水を張り「泥の吐出し」を行っていました。

 

 ■ 最後に、焼津市「吉永コミュニティパーク」を尋ねて池に噴き出る自然の湧き水を見学しました。大井川の扇状地には今でも自然に噴出する湧き水場がたくさんあり、住民を和ませています。

 

今日は島田市の地下水について書きましたが、今、島田市では大井川の右岸・左岸の賑わいのまちづくりについて計画が進んでいますが、地下水の活用を忘れています。

 

大井川は日本の電源開発(大型ダムによる水力発電)のメッカとして、水はダムから発電所発電所からダムへ、山の中のトンネル内を流れ、大井川には流れていません。

 

発電した電力は、主に新幹線など大都会に運ばれ、大井川と言う遺産を持ちながら地元は大井川の恩恵を受けていません。むしろ電源開発の犠牲になってきたと言っても過言ではありません。

 

南アルプス間ノ岳(日本で3番目に高い山)を源流とする大井川の地下水は、豊富で良質で、今は主に事業者さんが静かに豊富に使っていますが、ブランド南アルプスの銘水」の価値を上げてもっと有効利用すべきだと思います。

 

地元島田市で、子供たちが遊べる地下水の「親水広場」くらいあっても良いのではないか。