NPO法人 しまだ環境ひろば 「事務局」 です。
今日(5月28日 日 pm)は、「大井川の水を守る62万人運動」主催の、静岡県出前講座「リニア中央新幹線建設の環境影響に係る県とJR東海の対話の状況」が島田市プラザおおるりで開かれ聴講しました。
会場は90名程の参加者で満員で、関心の深さを感じました。プログラムは次の通りでした。
.
1.主催あいさつ(14:00)
大井川の水を守る62万人運動 世話人 森 伸一氏
2.講 演 (14:10~15:10) 60分
「リニア中央新幹線建設の環境影響に係る県とJR東海の対話の状況」
講師:静岡県くらし・環境部環境局 参事 栗田晢良(クリタ・テツオ)氏
3.質疑応答(15:10~15:30) 20分
4.事務局から
5.閉会(15:40)
席上には、42頁にわたる「県とJR東海の対話状況」が配られ、画面(パワーポイント)でページを追って丁寧な説明があり理解は深まりました。
筆者は過去にリニアの出前講座は「島田市環境課主催」及び「生活情報交換会主催」の2回聴講していますが、今日の説明はその後の状況が追加された内容でした。
それなりに新鮮味はありましたが、「空しさ」を感じたのは筆者だけだろうか。
もともと日本有数の構造線(糸魚川ー静岡間)が走り、今でも隆起を繰返している南アルプスと言う秘境に、日本一深いトンネルを通すこと自体が間違いの計画を、責任の所在も明らかにさせないまま、いつの間にか工事を進め、既成事実を作って来たことが問題であるが、もうその議論をする段階は過ぎたように物事が進んでいます。
リニア問題に対する静岡県の姿勢は、「静岡県は中央新幹線整備事業の必要性については、賛同しています。その上で事業を行うにあたっては、県民が安心できるレベルの環境影響評価を実施してもらうためJR東海と対話を進めています。」と繰り返し説明しています。
あたかも静岡県が、「ごねてゴールポストを動かしている」との誤解があるが、静岡県の基本スタンスは「全量戻し」で全く変わっていない、と今日も重ねて釈明説明がありました。
平たく言えば、「県は基本的にリニアには賛成で、県民に分かり易く環境影響を技術的に明らかにするとともに、もし水が減るようならば全量戻しの対策を打ってもらいたい」が、県の基本的姿勢だという。
JR東海から納得のいくデータが出ずにいろいろ遅れていると説明されました。
しかし、地質学などのトップクラスの科学者が参加して種々な研究や検討が加えられても、確信あるデータが示されないのは、現在のレベルでは限界なのではないか。
もともと秘境にトンネルを掘るという無謀な計画の中で、「静岡県はリニアには賛同」
と言い、県民には非常に理解しずらく分かりにくい。
秘境にトンネルを掘って、最先端の知識を持つ科学者も立証できない中で、JR東海に県民の納得のいく回答を求めており、一体この問題はこれからどう進展するのだろうか。
今日の出前講座は、JRとの対話状況を聴く会であったので、参加した市民から質問や意見は出ましたが、確信を衝く質疑応答になりませんでした。
県は、ルート変更やリニアに反対することは、今日の席上で明確に否定しました。
これからは科学的立証が無理な中でデータを作り上げ、その対策を練り、責任の所在を明らかにして前に進めるのでしょうか。
どうにもスッキリしない対話が空しく進んでいます。今日、スッキリして帰宅した参加者は果していただろうか。