NPO法人 しまだ環境ひろば 「事務局」 です。
過日、日経新聞朝刊 やさしい経済学 「地域活性化の新たな潮流」と題して8回シリーズで、関東学院大学准教授 牧瀬 稔先生の投稿を興味深く読みました。
第一回目で先生は、「地域活性化」という言葉は、使い勝手が良く多様な機会で活用されて、マジックワード(魔法の言葉)だと言い、手段でありながら、目的化してきたと忠告していました。
第二回目では、手っ取り早く人を増やすには、住む人(定住人口)を増やすことだが、「自然増」は難しく、外国人の受け入れや、自治体間競争など「社会増」を目指すことになるが、自治体間の奪い合いが起きて果てしない消耗戦となりいずれ限界が訪れる。
第三回目では、定住人口の増加や維持が難しいなら、「交流人口(観光客)」を増やすことになるが、全ての地域が観光に適しているわけではなく、踊らされただけの自治体も少なくないという。
交流人口を増やしていく視点の一つに、「顧客の創造」があり、すなわちリピーターづくりで、何かに特化して成功している例は多い。
例えば、八王子市の「高尾山参り」や、身近な例で、静岡市丸子の「大鈩(おおだらた)不動尊毎月28日市」は、リピーターの宝庫である。
第四回目では、地域活性化のための「企業誘致」ですが、利点もあるが限界もあるとのこと。
第五回目は、「シティプロモーション=地域売り込み=営業活動」ですが、これも自治体間競争を招きパイの奪い合いが起きているという。
第六回目は、新しい概念、「関係人口」を増やすということ。すなわちその地域や自治体を応援したい人口を増やすことだという。
第七回目は、「シビックプライド=地域に対する誇りや自負心を持ち、積極的に地域づくりのために活動する人たち=活動人口」を増やしていくということ。
たとえ人口が減少しても、活動人口の創出は、地域活性化を成功させるキーワードとなる。
最終回の第八回目は、これからの地域活性化は、量的に測れるものから質的志向へ、主観的な地域活性化への転換(その地域に住む人の幸福感)だそうです。
牧瀬先生は、これからは、これまでの量的活性化に加えて、質的・主観的地域活性化を目指す施策も展開すべき時に来ていると強調しています。
平たく言えば、ただ人だけ増やすのではなく、地域をこよなく愛する地元民を中心に、それに同調するフアンを取り込み、魅力ある特長を活かして顧客(リピーター)を創造して行くことではないか。
残念ながら、こういうことが分からない人が地域で起こった動きを潰して行く。
微力ながら、地域活性化に取り組んでいる筆者として、今回のシリーズは勉強になりました。