宮城県・岩沼市の集団移転検討会の手法に感動

NPO法人 しまだ環境ひろば 「事務局」 です。


昨日 (9月27日 土)の、 NHKテレビ 午後9:00からの、スペシャル 「私たちの町が生まれた集団移転3年半の記録 津波で消えた故郷再び」 を興味深く、感動しながら見ました。


宮城県 岩沼市で、津波でなくなってしまった町の集団移転の、町民活動の記録でした。


内容もともかくながら、自分たちの町をどう新しく作っていくか、その目的実現のための検討手法が実に素晴らしく、 ”行政と町民の新しい協働” であり、すっかり感動してしまいました。


恐らく、最初から意識してそういう ”新しい協働” を目指したわけではなく、結果的にそうなったように見受けられました。


■ 下地は、仮設住宅に、元の町民が一緒に入居することを決めた、岩沼市の市長の勇断があったとのこと。仮設住宅にこれまで付合いのない町民同士が入居していたら、ここまでの結束力や絆は生まれなかったという。


■ いろいろと葛藤はあったが、他の地域がもたもたしている間に、難しい集団移転を総意で決めたという。

■ そして、移転先の町をどんなようにしようか、という段階で取られた手法が素晴らしい。


  ◆ 最初は、行政から、碁盤の目のような町の設計図が示されたという。

  ◆ 本当にこれでよいのか、これに疑問を抱いた町民が集まって検討しているうちに、検討会に参加する町民が増え、道を曲げたり、円形の芝生公園を配置したり、緑や自然を大事にするアイディアが次々と出始めたという。


  ◆ ここで立派なのは、行政は ”事務局” に徹したことです。 行政と町民が反目しあったら良い町は決してできない。


  ◆ 町民の意向をできる限り、図面に落とし込んで、次々に町民検討会に示し、その繰り返しで町づくりを固めて行ったという。


  ◆ 町民は、アイディアや意見は出しますが、それを設計図に落とし込んだり、模型を提示することはできないのである。 この協働が見事だということです。


  ◆ ここに、行政と町民の信頼関係や絆が出来上がったと言えよう。


  ◆ 予算の関係もあり、「芝生公園は半分にしてほしい、もし全部やるなら町民の手でできないか」 との行政からの提案に対し、町民は、芝生の植え付けと、これからの管理を町民でやることを決断したという。


  ◆ 町民のすごい決断だと思う。中途半端な妥協ではなく、思いを実現させた岩沼市の町民の決断はすごい。行政も町民のやる気に任せた度量は大したものだ。


■ 岩沼市の集団移転は既に始まり、芝生公園も町民の手で進められている。


何でもかんでも、行政のお膳立てに従い、町民はただ参加するだけの時代は終わったと思う。


島田市でも、テーマを絞って、小さなことから、町民と行政が心を合わせて、企画段階から同じテーブルについて実行計画を作っていく新しい手法が待たれます。


今回の、岩沼市役所と町民の集団移転検討会の記録は、これからの ”新しい協働” のあり方を示唆しているものと思われます。