コロナが気付かせてくれた、新しい考えや空間

NPO法人 しまだ環境ひろば 「事務局」 です。

 

コロナ禍、第3波の新型コロナ感染者数や、重症患者数や、死亡者数の増加が止まりません。

 

政府は、感染防止と経済の再生の両方を追い、国民の道徳や常識に期待しながら双方の対策を打ち続けています。

 

医療従事者は、感染拡大を予測し、医療体制の崩壊を訴え続けています。

 

多くの国民は、「仕方ない」という思いで政府の対策を消極的に容認しながら、自分達でできる感染予防策を実行しつつ終息を待っています。

 

こんな中で、世の中は大きく変動しています。

 

■ 世界中の国々に感染が拡大する中、漸くワクチン接種が優先順位の高い医療従事者や高齢者から始まっています。

人間の命は平等であり、是非共持てる国の国民だけが優遇されるのではなく、持たざる国の国民にも平等に行き渡るようにしてもらいたいものです。

 

■ 我が国ではコロナにより、デジタル化の遅れが露呈し、菅内閣「デジタル化」と、「脱炭素」の2本を政策の柱に据えて、これからの運営を図るようです。

 

■ 民間企業は、業種ごとにコロナがもたらした風(フォローの風・アゲンストの風)を享受できた会社と、そうでない会社、逆風をフォローに変えた会社など様々であるが、的確果敢な事業経営を要求されています。

 

■ 国・県・市町村は、コロナ感染防止対策と経済の落ち込みを最小限にしながら国民生活を維持し、当分の間綱渡りの政策運営が続きます。

 

多くの国民は、為政者の的確な政策運営に任せて、国民ができる活動の自粛や我慢をしつつ、早期の終息を待っています。

 

 コロナはどんな人たちに、どんな変化をもたらしているのでしょうか。

 

今日(12月19日 土)日経新聞 朝刊 最終40ページに、建築家で名を馳せ現役の「隈 研吾氏」の、コロナ禍の建築空間の変化について記述しています。

 

氏は、「コロナというのは、建築空間の長い歴史にとって、ひとつ折り返し地点になると考えている。正確にいえば、折り返し点にしなけらばいけないと考えている」とい記述しています。

 

建築空間の歴史とは、野っぱらという、境界も壁もない自由空間から、集まって定住を始め、やがてハコの中に詰め込まれて労働を強制された。それが効率的であり、経済的であり、幸福であると信じ込まされて、「集中へ」の坂道を転がり続けたのであると。

 

「集中へ」は、「都市化」であり「高層化」であった。その行きついた先が高層オフィスビルであり、その閉じた箱の中で働くことを誰も疑わなかった。

 

しかし、「集中」が心身ともにいかなるストレスを与えていたかを、今回のコロナが気付かせてくれた。という。

 

デジタルテクノロジーは、「集中」によらずに効率と幸福をもたらす新しいやり方を示してくれていたにもかかわらず、怠慢な人類はハコや都市から出ようとしなかった惰性というのはまことに恐ろしい、と。

 

それに気ついた氏は、「分散」への大反転を踏み出したという。

 

「集中」を「反転」させた先には「分散」があり、コンクリートや鉄という、素人には扱いにくい素材でできた都市から、ついに脱出する時が来たという。

 

そういう方向に舵を切っていけたら、日本の田舎はもっと楽しくなり、都市はもっと風通しのいい場所になるのではないか。その反転に気付いたことが、2020年の最大の収穫であったと、氏は記事を結んでいます。

 

今回のコロナが、氏を新しい建築空間に導いたと同じように、あらゆる業種やそこに働く人たちに、新しい考えや空間を与えていると思われます。

 

多くの人達はそれに気づいてそれを受け入れたり、もう既に享受したりして大きく舵を切っています。

 

「対面からオンラインへ」、「テイクアウトへ」、「都市から田舎へ」、大きなうねりが来ています。

 

まだ気づいていない人もいます。

 

コロナが終息に向かい、「ウイズコロナの時代」には、対応した人とそうでない人の差は大きく開いていることと思います。