NPO法人 しまだ環境ひろば 「事務局」 です。
去る12月15日、「生活情報交換会 12月例会(講演会)」で、「知って見て静岡市のごみについて」を聴いて、連続11日間にわたって、「家庭から出る可燃ごみの減量策」を考えてきました。
筆者は島田市で、過去十数年の市民環境改善活動の経験から、減量を市民の環境意識の向上に求めるだけではごみは減らない。啓蒙や啓発の時は過ぎたと思っています。
ごみの減量問題は、私たちのくらしの中の一番身近な問題ですが、ごみが減らない理由が、私たちのくらしの中の行動にあると思っている人はいません。
多くの市民は、自分はごみの減量に最大協力していると思っているのです。しかし現実にはごみは減っていない。
島田市の市民満足度調査結果がこの程発表されましたが、今回もダントツでNO.1は「ごみ・リサイクル」で、市民はごみの排出の ”楽さ” を最大評価しているのです。
島田市も静岡市も、近代的な「溶融炉」という鉄も溶かしてしまう炉を持っていますので、ダイオキシンなど有害物質の放出は少ない代わりに、何でも焼却できることから、ごみの分別が甘くなって、一日一人当たりのごみの排出量は非常に多いという共通の悩みを持っています。
溶融炉とごみの減量は矛盾しません。溶融炉を持ちながらごみの減量はできます。
これからは、哀願調の啓蒙や啓発はもう時代遅れで、「市民自らが行動を変える」ものでなければごみは減らない。
どの様に行動を変えなければならないか、11回連続で提案して来ましたが、今日はそのおさらいをして今回のシリーズを終了します。
私たちのくらしの中に、「必然的にごみにしている」行動がいくつもあります。その行動(悪いクセ・悪い習慣・誤った知識)を、「良いクセ・良い習慣・正しい知識」に変革する必要があります。
「ごみになるか・ならないか」は、そんなに難しい事ではなく、紙一重の行動であり、変えたからと言って大きく手間が増えることはないのです。
■ 勝手場のシンクの中の「三角コーナー」を置くのをやめましょう。もしくは調理台の上に置いて使いましょう。わざわざごみに水を引っかけているのと同じです。焼却センターでは「水」を焼くことになります。
■ 調理くず(ごみ)は、絶対にシンクの中に落さない。わざわざごみに水を付けています。
■ 野菜・果物の調理くず(茶柄を含む)は、網袋に入れて物干し竿に吊るして1~2日間「自然乾燥」しましょう。水分が抜け、ごみの量(重量)は半減し、焼却センターの燃料費が急減します。臭いや虫も寄って来ません。
■ 食事は余分に作らない、食べ残さない。どうしても食べ残したものは、しっかり汁を切って使用済のラップに包んで燃える袋へ。野菜など調理くずとは絶対に混ぜないこと。
■ 生ごみを「自家堆肥化」する家庭は優等生!、行動を変えることは全くありません。今のまま頑張ってください。
■ 紙はクシャクシャと丸めてごみ箱にポイは厳禁!、平たく伸ばして「雑紙専用箱(資源)」に保存するクセを付ける。
■ 部屋に置いてある「ごみ箱」を廃止し、家庭の一番都合の良い場所に、「雑紙専用箱(資源)」と、「ごみにしかならない紙類専用箱」を設置して、家族全員が分別に協力する。
■ 部屋にごみ箱を置くなら、家族全員が協力して、資源となる雑紙は「雑紙専用箱」に保存を励行。
■ おむつは、市民の理解の下で、再生のため「近代工場」を誘致。
■ プラスチックは、自治体が「分別回収・処理体制」を確立して、市民は分別・リサイクルに最大協力。
■ 草・剪定枝は、庭・菜園のある家庭は自家堆肥化(自然発酵)、もしくは自治体が候補地を用意し、自然に土に返すルールの実施。
■ 古着・古布の分別回収は、排出場所と対象品目の拡大で分別回収量のアップ。
以上の行動変革は新たな手間は殆んどありません。行動を変えるだけでごみは減ります。
しかし、くらしの中で定着してしまった「悪いクセ・習慣・誤った知識」は簡単には直りません。
そこで、官民を挙げて(市民<市民団体>事業者・行政)、「市民運動にして、いつの間にか変わって成果が出て来た」という実績を残さなければなりません。
静岡市も島田市も、先端都市(掛川市・京都市・藤枝市等)と比べるとごみの量は高止まりしており、両市共に解決策として「ごみの有料化」を検討中と聞いていますが、先ずは「やることをやってから」ではないか。
「やることをやってから」とは、市民への単なる啓蒙や啓発ではなく、「行動を変える」ことではないか。
誰が言い出すか、30人位の市民が集まって、現状を認識し、行動を変える必要性が分って、市民の代表が「やろう」と覚悟を決めることが先決!
何しろ、毎日ごみを出しているのは市民であり、実は市民が一番分かっていることなのだから。難しく考えることはない。
覚悟と方向性を市民が決めたら、市民(市民活動団体)・事業者・行政が数人づつ集まって「実行委員会」を作り、実行計画を立案すれば良い。
あくまで押し付けではなく、全ての市民(市民・事業者・行政)の合作がこの運動を成功に導くものと確信します。
以上で家庭から出る「可燃ごみの減量策」シリーズを終了します。