切り抜き記事で「定年延長の是非」を読む

NPO法人 しまだ環境ひろば 「事務局」 です。

 

新聞の切り抜き記事日経新聞朝刊)が、ダンボール箱いっぱいになりました。

 

事件や文学や芸術分野の記事は一切なく、環境問題を中心にそれを取り巻く記事に限定しています。

 

記事には日付を振って、環境(温暖化・再エネ・省エネ等)・防災・社会・地域など見出し紙を挟んで大まかに分類して置きます。

 

目的があって何か調べたい時は、大まかな分類があると非常に便利で、かなりの情報が集約でき助かっています。

 

暇な時に見返すと、あの時あんなことがあったと思いだしたり、記事をしまった箇所が頭に記憶され、いざという時に楽に見つけ出したり、記憶力維持の訓練にもなっています。

 

今日は生憎の雨、自家菜園への出動も出来ないので、切り抜き記事を見ていると、昨年(令和5年)6月28日の大磯小磯「定年延長はシニアのため?」という記事が目に止まりました。

 

大磯小磯は、日経新聞朝刊経済欄のコラム記事で、社説とは別にもう少し気楽に砕けた記事で、ちょっと考えさせるところがあるので、筆者も大ファンです。

 

記事は、老齢年金の支給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられ、企業には65歳までの雇用確保が義務付けられ、70歳までの定年延長が努力義務化され、企業内には60歳代社員が目に見えて増えていると書いています。

 

「今の仕事をもう5年続けてほしい」と言われれば、断る人は少ない。

 

果してシニア層にとって良い事であったかと、記事は複雑な疑問を呈しています。

 

以前は60歳の定年を機に、「田舎に帰って農業をやろう」と言う人が少なからずいたが、それがすっかり減ってしまい、農地の跡継ぎに影響がでているとのこと。

 

筆者は、過疎化が進む里山に賑わいを呼び戻す「まちづくりの会」に参加したり、地元の自治会役員を経験していますが、里山では農家の後継難で耕作放棄地が増え、自治会では3役のなり手がないという危機に直面しています。

 

地域社会に於いては、60歳代は農家の貴重な跡継ぎであり、自治会では長老と青年の中間にあって一番の役員候補層であったが、この層が企業に残り、70歳まで務めた職業人は疲れ果てて、農業の後継や自治会の役員になる気持ちを失います。

 

60歳代前半の5年間は貴重でまだまだやる気十分、65歳になると「俺ももういいか」と消極的になり易い。

 

記事は、ときには会社と言う「楽園」から追い出してあげる「優しい肩たたき」が、本人のためになるというケースは意外と多いかもしれないと結んでいます。

 

人口減少と人手不足の時代を迎え、シニアの労働力は貴重な戦力ですが、企業に残るか、農業の担い手になるか、地域社会に貢献するかは、もっと自由に選択できる社会でありたいものだ。

 

難しい問題ではあるが、一律に年齢で「輪切り」にすべきではないと記事は提言していますが、その通りだと思う。