大井川の水と恵みを考える!

NPO法人 しまだ環境ひろば 「事務局」 です。

 

現在、大井川の水は3つの形態で流れています。

 

 1.大井川のを流れている水(全体の10%位しか流れていない)

 

昭和35年(1960年)に建設された中川根地区の「塩郷堰堤(ダム)」によって、下流には一滴の水も流れなくなりました。平成元年(1898年)、流域住民の「水返せ運動」により、5t/毎秒 を取り戻し現在に至っていますが、大井川には取り戻した水と、周辺の支流から流れ込んだ水しか流れていません。

河原砂漠(石ころばかり)と言われている所以です。

 

 2.大井川の大部分の水は山中のトンネルの中を、平野は用水路に分水されて流れ下っています。

 

大井川は電源開発のメッカの川で、ダムから発電所へ、発電所からダムへ、その間はトンネルで繋がれ、最下流域の「川口発電所」及び「神座分水工」で分水されて、西は菊川・掛川・小笠まで、東は島田・吉田・藤枝・焼津まで、網の目のように巡らされた用水路の中を流れています。

 

 3.もう一つは、地下水です。

 

大井川は昔は暴れ川として有名で、島田市を基点として、吉田や大井川町焼津市)の海岸まで見事な扇状地を作り上げましたが、扇状地の地下には豊富な地下湖が形成され減らない構造になっています。扇状地には現在350社に上る企業が存在し、地下水を利用しています。地下湖の水量は、「大井川地区地下水利用協議会」で毎年水量調査がされていますが、この数十年、全く水量に変化がなく、極めて安定を保っています。

 

島田市は、大井川の扇状地の基点(扇の要)にありながら、3つの水の利用の余地がまだまだあります。

 

 ■ 用水路を流れている水は、農業用水と生活用水の併用ですが、だんだん利用が細っており、再生可能エネルギーが注目を浴びている中、島田市は、「小水力発電への利用を高める必要があります。

 

 ■ 公園内に、地下水を利用した循環型の水たまりをつくり、子供たちの夏の遊び場として提供したら良い。子供たちにも大井川の水と恵みをもっと教えたい。

 

 ■ 島田市の水道水は、前2項の用水路の水を浄化して使う方式と、前3項の地下水をくみ上げる方式(金谷地区)に分かれていますが、水質・コストも安い地下水利用の可能性があります。焼津市の水道は地下水利用です。

 

 ■ 現在、扇状地に400社弱の企業が進出し、大井川の地下水を享受していますが、良質且つ豊富な地下水を名水化してもっと、大井川の水や自然の価値を高める必要があります。

 

 ■ 下流域には、支流がいっぱいあり、清流と自然に恵まれた地域が豊富にある。

   市街地に近く水と自然に恵まれた地域が利用されずにたくさん残っています。

 

今、リニア新幹線建設計画で、大井川の水の減量問題に注目が集まっていますが、大井川の水と恵みの価値を再認識し、観光や工業立地ばかりでなく、住民生活の向上に役立てて行くべきと思います。