「縦割り組織」と「横割り組織」

NPO法人 しまだ環境ひろば 「事務局」 です。

 

昨今、行政(国・自治体)でも、地域(自治会・市民団体)でも、企業でも、縦割り組織の弊害が問題になっています。

 

行政に於いては、給付金の一律給付や、新型コロナウイルスのワクチン接種などに時間がかかり、縦割り行政、既得権益前例主義の弊害が露呈しています。

 

省庁間にまたがる問題は、ワンストップで物事が片付かない。

 

地域に於いても縦割りが根付き、自治会間や市民活動団体との連携や協働が希薄化し、人材の有効活用ができていない。

 

企業に於いても、企業倫理や品質問題が発生する都度、縦割り組織の弊害が原因とされて、組織の見直しが繰り返されてきました。

 

日本は、行政も、地域も、企業も、「縦割り組織」が強く、また馴染んできたので、部署が違えば「隣りは何をする人ぞ」、全く無頓着で関心がない風土があります。

 

組織を超えた交流を好まない。

 

何か起こると、縦割り組織の一部に横割り組織を絡めて取り繕うが、時間が経つと元に戻すケースも多い。

 

企業で言えば、企業倫理問題が起これば「危機管理部」を、品質問題が起これば「品質保証部」を新設して、事業部制にくさびを入れるが長続きしない。

 

事業部制は、危機管理課も品質保証課も事業部の中に取り込んでいるので、事業部長に権限が集中し、利益追及型で、決定も素早い。

 

横割り組織の危機管理部とか品質保証部は、事業部外の組織であり、部長は危機管理と品質については独自の判断で、組織を動かしたり、製品の出荷を強制的に止める権限を持ち、この面では事業部長の持つ権限より強い。

 

従って、事業部長も、横割り組織の部長も互いを尊重し、信頼関係を築かないと組織全体がぎくしゃくする。

 

喉元過ぎると熱さを忘れて、元の事業部制に戻すことが多いがこれが間違いである。

 

企業倫理とか、危機管理とか、品質管理は、企業風土維持の根本であり、最終判断を事業部長に渡してはならない分野である。

 

「縦割り組織」を後生大事にしていたり、問題発生時に横割り組織を絡めて是正したものを元に戻したりすることは、信用という大事なものを再び失いかねない。

 

毎日のように、行政、地域、企業の倫理や危機管理や品質問題が報道され、縦割り組織や横割り組織の弊害や利点が都度論議されています。

 

人間社会の中では尽きない課題ですが、あくまで、「人や、社会全体の幸せが得られるかどうか」が、判断基準であることは間違いない。

 

行政や地域や企業のトップは、判断に迷ったら、自団体や企業のことよりも「人や社会全体が幸せになるかどうか」を判断基準にすべきと思う。