廃プラの「サーマルリサイクル」の行く手は?

NPO法人 しまだ環境ひろば 「事務局」 です。

 

昨日(10月4日 月)の日経朝刊9頁に、「危うしリサイクル先進国 数値水増しの日本、むしろ環境劣等生?」のように非常にきつい表現の見出しで、特集記事が掲載されました。

 

平たく言えば、日本はリサイクルの先進国だと思いきや、実は環境劣等生ではないか、という問題提起だ!

 

ごみ問題への対応力が、グローバルな製品競争力を左右する条件になり始めたと、日本の対応の遅れに警笛を鳴らしています。

 

記事は、この程欧州が、1つの充電器で使い廻しができるように、スマートフォン充電器の規格を統一し、ごみの削減引いては消費者の支出の抑制になる循環経済で主導権を握ろうとする並々ならぬ決意を見逃してはならないと指摘しています。

 

確かに家の中には、スマホの充電器が2つ3つ机の引き出しに放置されていますが、いずれごみになります。

 

日本は、リサイクル率で欧州に大きく遅れています。

 

廃プラスチックのリサイクル率は、スペイン 42%・ドイツ 38%・EU平均は32%、日本は25%だ。

 

日本はリサイクル率は8割程と説明していますが、この中には燃やしてエネルギーを回収している「サーマルリサイクル」の6割を含んでおり、欧州を始め世界の国々は燃やせばCO2(二酸化炭素)を出すサーマルリサイクルは、リサイクルとして認めていません。

 

■ マテリアルリサイクル

マテリアルリサイクルとは製品資源を原料として再生利用リサイクル)することです。

■ ケミカルリサイクル

ケミカルリサイクルとは資源を化学反応により他の化学物質に転換してリサイクルすることです。

■ サーマルリサイクル

サーマルリサイクルとは、廃棄物を焼却する際に発生する熱エネルギーを回収し利用することです。

 

日本の多くの自治体は、熱エネルギーを回収できるとして、燃えるごみ袋の中にプラスチック製品を入れさせて焼却センターで燃やしています。

 

プラスチック製品は、生ごみを焼却するためのコークスや石油の「補燃材」として、燃えるごみ袋に入れて回収をしているわけです。

 

日本は来年(2022年)から、おもちゃ・文房具・勝手場の器具などプラスチック製品は、燃えるごみ袋に混入させないで分別回収を始めると発表しています。

 

補燃材として活用してきた自治体はどうするのでしょうか。

 

今月(10月)31日~11月12日に英国グラスゴーで開幕する「第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)」では、「パリ協定」の実現に向けて、リサイクル問題もクローズアップされます。

 

 ◆ 「パリ協定」:約190カ国・地域が参加した国際的枠組みで、気温上昇を産業革命以前から2度未満に抑制、1.5度以下に向けて努力を決めた。

 

日本は、パリ協定の実現に向けて世界の指導的役割を果たすとしていましたが、この期間は総選挙行事を理由に、首相も環境大臣も欠席し、オンライン参加するとしています。

 

元小泉環境大臣は、市民団体から「化石賞」なる非常に不名誉な賞を受賞しています。

 

非常に大事な会議だけに世界の評価が心配されます。