用水路利用による「小水力発電」の壁は厚い。

NPO法人 しまだ環境ひろば 「事務局」 です。

 

しまだ環境ひろばは、島田市の市内を豊富に流れている大井川用水路を活用して、「小水力発電の創出」をやろうと、もう15年も叫び続けています。

 

この間、静岡県農業水利施設を活用した小水力等利用推進協議会」に入会したり、島田市の庁内に島田市水力発電合同検討会」を設置したり、島田市水力発電ガイドブック」を製作したり精力的な活動をしてきました。

 

市民の理解や賛同を得るために市民を集めて、「小水力発電の候補地である大井川用水路の見学」や、稼働中の「小水力発電所見学」島田市くらし・消費・環境展」への出展等々、毎年実施してきました。

 

データや資料も集め、もう視察や勉強会の時期は終わりました。

 

今年3月の島田市議会」に於いてM議員の質問に対して市長から、「市内のどこかの用水路で先ずは、マイクロ級の小水力発電を考えている」との回答がありました。

 

本来なら再エネ比率の向上に結び付くものでなければならないが、先ずは実行が大事であるのでこれを推進したいと、しまだ環境ひろばも支援を考えています。

 

そのため、去る10月22日の島田市・大井川土地改良区・しまだ環境ひろばの3者情報交換会、去る10月29日の地元発電機メーカー S製作所・しまだ環境ひろばの打合せを開催し、候補地や発電機の機種選定のための資料収集に再度取り掛かっています。

 

今、英国のグラスゴーで開催されている「COP26」では、「パリ協定」の実現に向けての目標設定や、あらゆる施策が懸命に話し合われています。

 

施策の最重要課題が、「再エネ比率の向上」です。

 

再エネ比率を飛躍的に上げて、「脱炭素」を実現しようとするもので、世界各国とも懸命になっています。

 

日本も、現在の再エネ比率 19%(2019年実績)を、2030年までに36~38%にすると、世界に約束しました。

 

今の19%を倍の38%にするのは大変で、再エネの5つ(太陽光・風力・小水力・地熱・バイオ)を総動員しなければ達成はできません。

 

ところが国は未だに、既得権や規制緩和を認めません。

 

水力発電は、「水利権」や「用水路の使用制限」があって、国営・県営の小水力発電はともかく、民営は全く進みません。

 

目指していることと、実態は全く違うのです。

 

用水路の横に別な側溝を設置したらコストが膨大で国営(税金投入)なら成り立ちますが、民営はとても採算が合いません。

 

一頃、用水路に直接沈める「小型発電機」民間の発電機メーカーが競って開発しましたが、昨今は全く影を潜めてしまいました。

 

用水路の壁に傷をつけないように、重力もなるべくかからないように発電機を改良しても国は認めません。

 

これでは、発電機の開発も、用水路利用の発電も進みません。

 

また、売電申請もハードルが非常に高い。売電の制度はあるもいざ申請の段階で非常に審査が厳しいと聞いています。

 

こうしたことを、環境大臣や首相は知っているのだろうか。

 

知っていて許可されないのはどうしてなのか。

 

本当に再エネ38%の実現の気持ちはあるのだろうか。

 

疑問さえ感じる今日この頃です。