池上彰の「どうなる、リニア問題」を視聴して。
NPO法人 しまだ環境ひろば 「事務局」 です。
去る7月5日(水)の夕方6:57 静岡朝日テレビ「池上彰の静岡のチカラ どうなる!?リニア問題」で、池上さんが鋭く切り込んで、何か新しい突破口を聞き出すかと期待しましたが、何もなく拍子抜けでした。
静岡県の見解は何回も聞いていますが、一貫して「静岡県は、中央新幹線の必要性については賛同しています」と主張しています。
そして、静岡県は「南アルプス及び大井川の水利用の特殊性を考慮して、事業の実施前に県民が安心できるレベルの「環境影響評価」を実施してほしい」と、その報告を待っている状態だと説明しています。
要するに、静岡県の主張は最初から現在まで何も変わっていない、と言っています。
筆者は、去る令和3年7月16日 島田市環境課主催の講演会「大井川水系の水資源の保全に係る講演会」、去る令和3年11月19日 生活情報交換会主催の県の出前講座「リニア中央新幹線の県とJR東海の対話状況」、去る5月28日 大井川の水を守る62万人運動主催の県の出前講座「リニア中央新幹線の環境影響に係る県とJR東海の対話の状況」の3回の講演会を聴いていますが、この間3年間、何の進展もありません。
初期の段階で知事があれほど「リニア反対!反対!」と叫んでいたのは何だったのか。
県民からみたら狐に包まれた思いであり、県民は誰も反応しなくなった。
県は3つの課題 ①「水の確保」・➁「トンネル掘削土の安全な置き場所確保」③「南アルプスの生物多様性の保全」の技術的回答と責任所在(JR東海・国)が明らかになればリニアには賛成だと繰り返しています。
しかし、3つの課題に対する「技術的解明」と「責任の所在」を明確にすることは非常に困難で、堂々巡りを繰返しているのが現状である。
池上彰が、元静岡県副知事で現静岡市長になった難波氏に、「県知事は空港駅をもらえれば、その代わりにリニア工事を認める」つもりか、と質したことに対する難波市長の答えは、「もしそれをやったら、全ての論拠がひっくり返りそれはないだろう」との見解を引き出したのが唯一の当番組の目玉であった。
知事は、あたかも条件闘争に入っているかの如くの発言もあるが、静岡市長は池上彰の番組で明確に否定しました。
一体、リニア問題はどうなってしまうのだろうか、誰も分からない。
本工事前の「高速長尺先進ボーリング」は、田代ダムの取水調整で何とか進むとして、本工事を進めるにあたっての先述の3つの問題と対策、と何か起こった時の責任の所在に決着をつけることは非常に困難だ。
県は県民へ「JR東海との会話を続けて行く」を繰返しているばかりです。
元々、日本有数の構造線が走り、現在も隆起と崩壊を繰返している未開拓で秘境の南アルプスにトンネルを掘る暴挙が問題であり、その責任問題はどこに行ったのか、袋小路に入ってしまった。