脱炭素の現在地?、二人の教授の論文を読む

NPO法人 しまだ環境ひろば 「事務局」 です。

 

「脱炭素」の現在地はどの辺りにあるのか?、日経新聞朝刊、経済教室欄に、二人の教授の論文が掲載され興味深く熟読しました。

 

 ■ 東京大学教授 高村ゆかり氏  ■ 立命館大学教授 林大介

 

高村教授の論文は、「低炭素ではなく、脱炭素はどこまできたのか」から始まっています。

 

 ■ 世界の平均気温を産業革命前と比べて1.5度未満に抑えるには、2019年比で2030年に温暖化ガスの排出量を43%削減、35年に60%削減、2050年頃までに実質ゼロにするような速度と規模が必要となる。

 

しかし各国から出されている目標では、国際社会が目指す「1.5度目標」の達成に必要な削減水準には達していない。

 

ただまだ望みはある。道筋は多様だが、エネルギー、運輸、建築物、産業などあらゆるシステムの改革・移行が必要となる。

 

幸い主要国は、再エネ創出コストの低減や設備容量の拡大、排出実質ゼロに向けて取り組みを加速する動きが活発だ。

 

日本でも多くの企業や自治が、2050年までにカーボンニュートラルを掲げ始動している。

 

■ 2025年には日本を含め各国は新たな削減目標の提出をする。日本は覚悟を決めてGX(グリーントランスフォーメーション=自然エネルギーへの変革)を実現する政策を追求する必要があると結んでいます。

 

一方林教授も、脱炭素の現在地の認識は高村教授とほぼ同じだが、どのように具体的に化石燃料による発電を削減して行くかをもっと議論する必要性を強調しています。

 

火力発電とCO₂の回収・利用・貯蔵技術の組み合わせは割高で、使用範囲は限定的だとしています。

 

林教授は結論として、再エネと省エネを中心としたエネルギーシステムへの移行を実現することが、脱炭素化だけでなく地域経済の発展にとって重要となると結んでいます。

 

昨今世界で起こっている気候変動による大災害は、地球温暖化防止は待った無しを迫っています。

 

二人の教授とも日本は覚悟を決めて脱炭素政策を実行しなければならないと強く警鐘を鳴らしています。